【プルプル震えはなぜ?】ピラティス中にお腹・足が震える2つの理由&対策

ピラティスをしていると“プルプル”とお腹や足が震える。こんな経験はありませんか。

お腹や足が震えて恥ずかしい。
他の運動で筋力をつけてからのほうが良いのかな?

もしかして、フォームが間違っているのかな。

実はこの震え、あなたの体に“変化が起こり始めている証拠”です。 ”今まで使われていなかった筋肉や神経”が刺激を受けているサインでもあります。

私は理学療法士として7年以上ピラティスを実践し、今でも強度の高いエクササイズでは毎回プルプルを感じています。

この記事では、ピラティス初心者さんにも専門用語を極力使わず、分かりやすい内容でピラティス中にお腹・足が震える2つの理由と具体的な対策まで解説します。

この記事を読めば「お腹や足のプルプルがなぜ起こるのか、良いプルプルと悪いプルプルの違い」まで分かるようになります。

「もっとキレイになりたい。」「体に不安がなく元気に過ごしたい」と思う方はぜひ最後までお読みください。

目次

プルプル震える2つの理由|“安心できる反応”と”要注意な反応”とは?

ピラティス中に起こる“震えの正体”とは?

【姿勢時振戦】
プランクやハンドレッドのように、ある姿勢をキープしているときに出る震え

【動作時振戦】
脚を上げ下げしたり、腕を回したりと、動いている最中に感じる震え

まずは、ご自身の“プルプルポイント”を確認してみましょう。どの動作で震えやすいかを知ることで、今のあなたの苦手種目が分かります。その動作を意識して練習メニューに組み込むことにより、効率的に筋力とコントロール力を高めることができます。

震えは決してマイナスではなく、ご自身の成長を後押しする大切なサインとして受け止めてあげてください。日々のエクササイズに“プルプルしやすいエクササイズ”を取り入れることであなたの体は着実に変化していきます。

ここでは、“姿勢時振戦”と“動作時振戦”というのがあるということを覚えておいてください。震えには2種類あることを理解したところで、次は“筋肉が震える2つの理由”について解説していきます。

理由①:脳が1秒間に8~12回の“プルプル信号”を送っている

私たちの脳は、1秒間に8〜12回のペースで、筋肉に「がんばって」「ちょっと休んで」といった筋肉の収縮を微調整する信号を絶えず送り続けています。【※1】この信号によって、筋肉はギュッと力を入れたままにせず、「収縮→弛緩(ゆるめる)」を繰り返すように働いています。

手をギュッと力強く、10秒間握り続けてください。どうでしょう。非常に疲れませんか?体全体の筋肉もすべて同じで、ギュッと収縮し続けてしまったらあっという間に疲労してしまいます。だからこそ、体には収縮→弛緩(ゆるめる)のメカニズムが組み込まれているわけですね。

そのおかげで、筋肉は疲労を最小限にしながら、姿勢を保ったり、絶えず動き続けることができるのです。ピラティス中にお腹や足がプルプル震えるのは、“筋肉の収縮→弛緩(ゆるめる)を微調整する信号”が一生懸命働いている証拠。つまり、“からだ本来の自然な反応”であり、何もおかしなことではないのです。

理由②:筋肉センサーが負荷を感知して震えを大きくする

筋肉センサーには、「筋紡錘」「ゴルジ腱器官」という2つの筋肉センサーが存在します。これらが絶え間なく働くことで、負荷に見合った筋肉の“ちょうどよい長さ”を維持しています。

【筋肉センサーの役割】
筋紡錘:筋肉の中にあり、筋肉の“縮むチカラ”を強くする。
ゴルジ腱器官:筋肉と腱の間にあり、筋肉が“縮みすぎないようブレーキ”をかける。

筋紡錘は、筋肉の縮む力をサポートすることで、体の位置をコントロールしようと頑張ってくれています。一方、ゴルジ腱器官は筋肉にかかる過度な「張り・力み」を察知して、筋肉の縮む力を抑えてくれています。筋紡錘とゴルジ腱器官が協調的に働くことで、私たちの筋肉や関節を過度な負荷から守り、体の絶妙なコントロールを可能にしています。

Elbleらの実験研究では、負荷が増すほど生理的振戦の振幅が大きくなる【※2】と結論付けています。筋肉への負荷量が増すほど、筋紡錘やゴルジ腱器官の働きが活性化し、「もっと縮んで!」「もう縮まなくて大丈夫」といった作用がより強力に働きます。

Granit & Phillipsの研究においても、ストレッチ反射・振戦ループは、約8-12Hzのリズム内で働くことも報告されています【※3】。プランクや手足の上げ下げなどの動作中に生まれるこのリズム的な微調整こそが、姿勢や動きを安定させ、筋肉や関節を守る大切な役割を果たしています。

こうした理由からも、運動中のプルプルは自然なことなんです。無理に止めようとせず、体が頑張ってくれているんだと前向きな気持ちで捉えてあげてくださいね。

※本パートの記述は、ナラティブレビューなどエビデンスレベルが比較的低い文献に基づくものです。ピラティス中の震えに関する科学的知見はまだ限られており、今後は対照群を用いた実験や大規模コホート研究など、さらなる調査・検証が求められます。

次は、ピラティス中にプルプルと震えたときの、“安心できる反応”と“要注意な反応”を探っていきましょう。

“安心できる反応”と“要注意な反応”

ピラティスを行っているときに、お腹や足のプルプルが“安心できる反応”なのか、それとも“要注意な反応”なのか考えたことはありませんか。あなたがエクササイズを1人で行っている場合でも、自信を持ってエクササイズを行えるようセルフチェックシートを下図にまとめました。

あなたの“プルプル”はどちらですか。

まずは、リラックスすることから始めましょう。顔がこわばっているときは、全身に力みが生じている場合が多いです。息を吸って、吐く。このように呼吸が無理なく続けられるのも大切なポイント。呼吸が止まりがちになると、疲労感や震えも強くなりやすいため注意してください。

動きの滑らかさ、表層の筋肉の硬さもチェックしておきましょう。最初は動きがスムーズで、徐々に震えが出てくるのは自然な反応ですが、動きがギクシャクしている場合には力みが発生している可能性が高い要注意な反応と言えます。体表で触れることができる腹筋や大腿四頭筋など、ボリュームのある大きな筋肉も、常に程よい柔らかさを保てていることが理想的です。

① 顔のリラックス感をチェック

② 呼吸のスムーズさを確認

③ 動きの滑らかさを見る

④ 筋肉の柔らかさを触って確かめる

エクササイズをするときは、この順序を意識しながら丁寧に進めてみてください。

まとめ|“プルプル”はあなたの体が変わり始めたサイン

ピラティスの最中にお腹や足がプルプルして不安になった。初めてレッスンで膝を抱えた。この読者様にもそんな方々が大勢いらっしゃると思います。ですが、エクササイズ中に感じるプルプルは“あなたの体が良い方向に変わり始めたサイン”なんです。「筋肉がないからまだピラティスはやめとこうかな」なんて考えなくても大丈夫です。あなたは確実に変化しています。

焦ることはありません。ピラティスはすぐに結果がでるものではありませんが、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と続けていけばあなたの体はより美しく、しなやかな動きができる素敵な女性になっていることでしょう。ウエストの引き締まりや日常生活が楽になっている実感も間違いなく出てきます。ご自身のペースで、無理なくピラティスライフを楽しんでいきましょう。

【参考文献】

【※1】How to Tackle Tremor – Systematic Review of the Literature and “Grey” Literature. Movement Disorders Reviews. 2012;XX(X):XX–XX.

【※2】Elble RJ, Randall JE, Leffler KL. Characteristics of physiologic tremor in human muscle. Muscle & Nerve. 1983;6(4):358–364.

【※3】Granit R, Phillips CG. The Frequency of the Tonic Stretch Reflex in Man. J Physiol. 1956;134(1):1–27.

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