皆さんはこのように感じることはありませんか?

体重は変わっていないのにお腹だけぽっこりしてきた気がする…



昔に買ったパンツが入らなくてショックだった…
そんな声を、40〜50代の女性からよく耳にします。一般的に、ぽっこりお腹を解消したいと考えるピラティス初心者の方は、「とりあえずお腹をやればなんとかなる」と頑張ってしまい、腰痛が出たり、続かずに挫折したりすることも少なくありません。
私はピラティス指導を始めて7年以上になりますが、お客様から、2ヶ月前後になると「ぽっこりお腹が治ってきました!」「ズボンがゆるくなってきました!」と喜びのお声を頂くことがあります。ピラティスはインナーマッスルを常に使い続けるエクササイズのため、効果的にぽっこりお腹を撃退できます。
そこでこの記事では、ピラティス初心者の方に向けて、「ピラティスでお腹がスッキリする理由」と「効果が出るまでの期間」「具体的なセルフケアの方法」まで解説していきます。
これを読めば、「ぽっこりお腹を解消するための知識や具体的な方法」に至るまで、全てを網羅的に学ぶことができます。カラダの専門家として10年以上の知識と最新の知見をこの記事に凝縮しました。「お腹を細くしたい。」「昔のズボンを履けるようになりたい。」と考える方はぜひ最後までお読みください。
ぽっこりお腹は“支える力”の低下から始まる─腹横筋の重要性とは?
腹横筋とは?─お腹の内側を支える“天然のコルセット”


腹横筋には腹腔内圧(お腹の中の圧力)を高め、内臓を支える効果があります。腹横筋は肋骨と骨盤の間を覆い、体幹を前方から後方まで包み込みこむ大きな筋肉です。腹筋の中でも最深部に位置しており、筋肉は“水平方向”に走っていいます。この腹横筋を活性化させることで、ぽっこりお腹を整えることができます。
腹腔内圧の“腹腔”とは「胃・腸・肝臓・腎臓・膀胱などの臓器が収まっているお腹の中の空間」を指します。腹腔内圧が上昇するということは、腹横筋を含めたお腹のインナーマッスルが、しっかり内臓を支えている証拠でもあります。
ピラティスが腹腔内圧を上昇させるエビデンスには、以下のようなものが挙げられます。


ColemanらやKawabata&Shimaらの実験研究は、ピラティス動作が腹横筋を活性化し、腹腔内圧を上昇させることを示唆しています。ピラティスは腹腔内圧(IAP)を高める可能性があるエクササイズです。今後のさらなる調査に期待しましょう。
ぽっこりお腹に変化が出るまでの期間とは?


ぽっこりお腹を改善するには“最低でも1ヶ月を要する”と考えることができます。
Su Su Hlaing et al. (2021)による研究によると、
TrAとは“腹横筋”を指しています。週3回✕4週間のトレーニングを行うことでTrA(腹横筋)の厚さが有意に増加することをこの研究では示しており、筋肉の厚さ(筋断面積)が増えることで筋力も向上します。それにより、腹腔内圧を高めやすくなり、内臓をサポートする機能が高まると考えることができます。
私のおすすめは、“1日3分”で良いからピラティスを毎日取り入れること。日々の積み重ねこそが、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後のあなたの“ぽっこりお腹”を引き締めることにつながります。
姿勢のゆがみが、あなたのお腹を前に押し出す
ぽっこりお腹を防ぐには、腹横筋が“ちょうどいい長さ”で保たれることが大切です。
反り腰になると、骨盤が前に傾いて腹横筋が必要以上に引き伸ばされた状態になります。筋肉が伸びきってしまうことで、十分な力が出せなくなります。一方、猫背になると、胸が丸まり骨盤も後ろに傾くため、腹横筋もギュッと縮んでしまう状態になります。縮みすぎるとやはり、うまく収縮できなくなります。


腹横筋がいちばん働きやすい“適正ポジション”をつくることが、ぽっこりお腹を治すために必要となります。その適正ポジションの名称が「ニュートラル」。みなさんも下図のニュートラル簡単チェック法を試してみてください。
まずは仰向けに寝てみましょう。腰の隙間に“手のひら1枚が入るけど手の甲が少し触れる”くらいのスペースが確保されていれば概ねニュートラルだと判断できます。しかし、手のひらが全く入らない。手のひらが入っても手の甲が腰と触れずにスカスカ。そのような状態のときはニュートラルではない可能性があります。
ご自身の腰椎・骨盤のバランスを日々確認するようにしましょう。


ぽっこりお腹を整える!ピラティス2ステップ
Step1|腹横筋を目覚めさせる「デッドバグ」
「反り腰がなかなか治らない…」そんな方におすすめなのが、今回ご紹介する「デッドバグ」です。エクササイズ内に、腰を丸める要素を取り入れることで、腹横筋の機能を活性化させます。「Takaki et al.,2016」の研究によると、腰を丸める姿勢を意識的に行うことで、腹横筋が活性化したことが研究で明らかとなりました。※4)
腹筋は苦手な方も非常に多いので、まずは比較的行いやすい「デッドバグ」からスタートしてみましょう。寝ながら簡単に行えるピラティスエクササイズなので、皆様もぜひ取り入れてみてください。
Step2|腹横筋の力を取り戻す「お腹のストレッチ」
「ぽっこりお腹を治すなら、まずは腹筋だ…」そのように考える方も多いのではないでしょうか。生理学の視点から紐解くと、筋肉には力を発揮しやすい“ちょうどよい長さ”があります。猫背の人は特に、腹筋が縮みやすい傾向にあります。筋肉は縮んでいると腹筋にも力が入りません。
今回は「プローンエクステンション、スワンⅠ、スワンⅡ」これら3つのエクササイズをご紹介しました。あなたが「気持ち良いな。」「これなら続けられそうだな。」と感じるエクササイズをセルフケアに取り入れてみてください。
まとめ
ぽっこりお腹の改善には、腹横筋の機能回復が鍵となります。腹横筋には腹腔内圧(お腹の中の圧力)を高め、内臓を支える効果があります。ピラティスを取り入れることで腹腔内圧が高まり、腹横筋の機能回復をサポートします。
腹横筋が持続的に活動しやすいのは、反り腰でもなく猫背でもない“ニュートラル”な状態です。仰向けで寝たときに「手のひら1枚が腰に入るけど、手の甲が腰と優しく触れている」このちょうどよい腰椎・骨盤の位置が理想的です。
反り腰の方は“腰を丸めるエクササイズ”を、猫背の方は“腹筋を伸ばすエクササイズ”を取り入れましょう。それにより、あなたのお腹は徐々に力を取り戻し、ぽっこりお腹も少しずつ改善していきます。まずは1ヶ月、エクササイズを行ってみましょう。
「昔履けなかったズボンがいつの間にか履けるようになった。」そのような声を聞くことができたら、私はとても嬉しいです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
【参考文献】
※1)Coleman, B. D., Sanderson, D., et al. (2015). Intra-abdominal pressure during Pilates: unlikely to cause pelvic floor harm. International Urogynecology Journal, 26(4), 557–564.
※2)Kawabata, K. & Shima, H., et al. (2023). Interaction of breathing pattern and posture on abdominal muscle activation and intra-abdominal pressure in healthy individuals: a comparative cross-sectional study. Frontiers in Physiology, 14, 1435671.
※3)Su Su Hlaing, T., Sayama, K., et al. (2021). Effects of Stabilization Exercise on Transverse Abdominis Thickness, Proprioception, and Balance in Patients with Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial. Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation, 34(3), 485–492.
※4)Lee D, Lee LJ, McLaughlin L. (2017). Stability, continence and breathing: The role of fascia following pregnancy and delivery. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 21(3), 665–673.